箱入り仏のちんどうちゅー
箱入り仏の珍道中
登場人物
田辺 俊介(タナベ シュンスケ) 見かけは真面目だが本性はだらけている。冴えない高校生。進学校ではないが努力が嫌いで、課題をやらないこともしばしば。
礼儀知らずでやや生意気な。
法印地蔵 (ホウインジゾウ) 正義模索中 鎌倉八幡神社に作られたお坊さんの姿をした木像。人の願いを良く分からないまま叶えていいのかと疑問を抱いている。普段自分の考えを抑え混んでいて、耐えきれなくなると爆発する。
田辺 腹良(タナベ ハラヨシ) 口がうまいお調子者 鎌倉駅の近くに構える居酒屋で店主をしている。彼に会いたくて来るお客さんも多い。鎌倉に住んで長い。
あまり人を威圧しないようにしゃべる。
登場する機会がないだけで妻(一色 静)もいる。人が余ってたら出してもいい。
二弦 三毛(ニゲン ミケ) ケーキ屋でアルバイトを自称しているが、店主の姿を見たことはない。田辺が気になっている相手。正体は猫又。
艶やかで優しい口調ではあるが、どこかからかっているような声。
応神天皇 (オウジン テンノウ) 説明不要。神 鶴岡八幡宮に始まり、全国の八幡神社でまつられている。神無月の時にサブローを相手してくれる人を探していた。
常に凛としている。
基本的には性別は気にしない。ただし地蔵は男で確定させる。
とき 神無月(十月)の寒くも暑くもない完璧な秋。
場所 神様とか妖怪とかが人間の生活のなかに入り込んでいる鎌倉。
舞台をスポットライトがあたる三つに分ける。①や間の喋りのような大道具が必要なさそうなものは中央で、②の飲み屋や、③のケーキ屋のようなものはその都度変える。
① あいさつ
夜も更けてきたがまだ夕日が残っている。中央スポットライト。原良が下手からスポットライトの前に駆け足で来る。地蔵、スポットライトの当たらない後ろにたっている。
原良、客に向かって二礼二拍手
原良 いやー久しぶりですねぇ。まだ俺の事を覚えていらっしゃるでしょうか。…ちょっと忘れたかも?いやいや言ってまだほんの少ししかたってないでしょうに。ですがご安心を。私はしっかりと覚えています。何せめったにお目にかかれませんからね。忘れもしませんあの神無月の時の事。
地蔵、杖で床に響かせる。原良、前の台詞をいったら下手にいく(足りなかったら音響で補強)暗転する
原良 それと、うちの愚息(ぐそく)もまた来るそうです。ええ、いまはちょっと忙しいようで。
場面は替わり駅前 時刻は午後四時頃。帰る人間がちらほらおり、それなりに混雑している。
② 出会い
俊介、歩きスマホをしながら地蔵を素通りしようとする。
地蔵 待ちなさい、そこのあなた。
俊介、通りすぎる。
地蔵 そこのあなた!
俊介 うわっ!何ですか急に。
地蔵 歩きながら作業をするのは危ないですよ。
俊介 はあ…(スマホをしまう)
地蔵 気をつけてくださいね。
俊介、数歩歩くとまたスマホを見る。
地蔵 待ちなさいそこのあなた!
俊介 え?何ですかまた呼び止めて。
地蔵 何ですかもこうですかもありません!歩きながら作業をするなと言ったでしょう!
俊介 別にそこらじゅうの人がやってるんだからいいじゃないですか。
地蔵 そんなの理由になってないだろ!それにわ·る·いと感じているなら止めるべきですよね?
俊介 うるさいなぁ…
地蔵 第一その板は何ですか!?道行く人の半分はそれをじっと見つめてあるいて、挙げ句の果てにそれを持ってる人同士でぶつかったりして、迷惑極まりない!神様はなぜ、この鎌倉だけでもその板を使えなくしてやらないのでしょう?
俊介 いや待て待て、使えなくする?そんなことできるわけないだろ。第一あんた、スマホの事も知らないの?
地蔵 なんですその「すまほ」って。
俊介 これは、電話したりゲームしたりいろいろ調べられたりするもんだよ。あんたもガラケーぐらいは知ってんだろ?それの新しいやつ。
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