プロポーズ
【登場人物】

銀ノ丞(大御所声優)
太田黒(脚本家)

勇次郎(銀ノ丞一座の劇団員)
樹里亜(銀ノ丞一座の劇団員)

超新星(銀ノ丞のマネージャー) 
百合鴎(銀ノ丞一座の新人劇団員) 

小宮山さん(プロデューサー) 

いづみ(劇団たんぽぽ)





S1 小宮山さん

クラシック音楽が流れている。
舞台上に小さいステージ。ロミオとジュリエットの人形劇のリハーサル中。
ステージ横に声を担当する男2人と女1人。
それらを見守る脚本家と小宮山さん。

ジュリエット「おおロミオ、あなたは何故ロミオなの?」
爺や    「ロミオなんて男は忘れてしまったほうがいいですじゃ」
ジュリエット「でも、私はロミオを。ロミオだけを愛しているのよ」
爺や    「わかっておりますじゃ。でも・・・」
ジュリエット「(ロミオを発見して)ねえ爺や、ちょっと水を汲んできてもらえる?」
爺や    「はい、かしこまりましたですじゃ」
ジュリエット「ロミオ、そこにいるのね」
ロミオ   「ジュリエット、俺と一緒にあの森を越えて、新しい町へ行こう」
ジュリエット「そんな、急に言われても・・・」
ロミオ   「もう、離れ離れは嫌なんだ。さあ、行こう!」
ジュリエット「・・・はい!」

銀ノ丞  よし、ここまでにしよう。ミーティングするぞ〜。
一同   はい。

小宮山  え?最後までやらなくていいんですか?
太田黒  最後までやっちゃうと、リアリティがなくなっちゃうんです。
小宮山  リアリティ?
太田黒  セリフがね、自分の言葉じゃなくなっちゃうんです。慣れすぎて。
小宮山  はあ
太田黒  座長の方針なんですよ
小宮山  へえ
太田黒  普通はCD使うんです。人形劇団って。
小宮山  あ、そうですよね?そのほうが楽ですもんね。
太田黒  今日は、この老人ホームでお世話になるじゃないですか?
小宮山  (いらっとして)ケアセンターね。
太田黒  (丁寧に)ケアセンター。で、明後日は長野の小学校なんです。
小宮山  へえ。
太田黒  お客様に合わせて、全体のテンポやバランスを変えるには、CDじゃ無理があります。
     だから、うちの劇団はCDを使わないで、生の声でやってきたんです。
     相手に合わせて、セリフも分かりやすく変えたり。あ、それは脚本家の私の役目ね。
小宮山  格好いい!
太田黒  え?
小宮山  格好いいですね。プロって感じで。
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